※ 神奈川県医師会 先天性代謝異常対策委員会 作成(許可を得て引用)
【目次】
① 新生児マススクリーニング(先天性代謝異常症等検査)とは
② 新生児マススクリーニング (先天性代謝異常症等検査) の対象疾患
③ 再検査とは何でしょうか?
④ 再検査になった場合はどうすればよいのでしょうか?
⑤ 要精密検査 (要精査) とは何でしょうか?どうすればよいのでしょうか?
先天性甲状腺機能低下症・先天性副腎過形成症
ガラクトース血症
フェニルケトン尿症 / メープルシロップ尿症 / ホモシスチン尿症
シトルリン血症 1 型 / アルギニノコハク酸尿症
メチルマロン酸血症 / プロピオン酸血症 / イソ吉草酸血症
メチルクロトニルグリシン尿症 / ヒドロキシメチルグルタル酸血症(HMG血症)
複合カルボキシラーゼ欠損症 / グルタル酸血症1型
中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(MCAD欠損症)
極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(VLCAD欠損症)
三頭酵素 / 長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症(TFP/LCHAD欠損症)
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1欠損症 (CPT1欠損症)
◆ これから検査を受ける方へ
❶ 新生児マススクリーニング(先天性代謝異常症等検査)とは
先天性の病気のなかには、生後早い時期に採血を行うことで診断できるものがあります。新生児のうちに早期発見しておくと、早期治療により知能の遅れなどを防止できたり、重い症状が出ないように注意して日常生活を送ることができます。このような取り組みが「新生児マススクリーニング」( 先天性代謝異常症等検査) で、世界各国で行われています。日本では 1977 年に 5 つの疾患を対象として始まりました。技術の進歩によって、更に多くの疾患を対象とすることが可能となり、現在はおよそ19 疾患(自治体により異なります)を対象として行っています。
❷ 新生児マススクリーニング (先天性代謝異常症等検査) の対象疾患
新生児マススクリーニングで発見される病気は、内分泌疾患(ホルモンの異常)と代謝異常症(栄
養素の利用の障害)に大きく分けられます。内分泌疾患としては、甲状腺ホルモンの欠乏症(先天性
甲状腺機能低下症)と副腎皮質ホルモンの欠乏症(先天性副腎過形成症)を対象としています。代謝
異常症としては、早期の食事療法や生活上の注意が必要な17疾患(自治体により異なる場合があります)を対象としています。
内分泌疾患(ホルモンの異常) 甲状腺ホルモンの欠乏症先天性甲状腺機能低下症 副腎皮質ホルモンの欠乏症先天性副腎過形成症代謝異常症(栄養素の利用の障害) 糖 (炭水化物)の代謝異常ガラクトース血症 アミノ酸の代謝異常フェニルケトン尿症メープルシロップ尿症ホモシスチン尿症シトルリン血症 1 型アルギニノコハク酸尿症 有機酸の代謝異常メチルマロン酸血症プロピオン酸血症イソ吉草酸血症メチルクロトニルグリシン尿症ヒドロキシメチルグルタル酸血症(HMG血症)複合カルボキシラーゼ欠損症グルタル酸血症1型 脂肪酸の代謝異常中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(MCAD欠損症)極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(VLCAD欠損症)三頭酵素/長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症(TFP/LCHAD欠損症)カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1欠損症 (CPT1欠損症) (自治体によってより多くの疾病について検査を行っているところもあります)
◆ 再検査または要精密検査(要精査)となった方へ
❸ 再検査とは何でしょうか?
新生児マススクリーニングは、疾患のある新生児を見逃さないように、検査結果を 3 つのレベルに分けて判定しています。つまり、① 正常 ② 再検査が必要 ③ 要精密検査(すぐに病院で精密検査を行うのが望ましい) の 3 つです。
最初の検査で①となればそれで終了です。反対に、最初の検査で基準を大きく超える値が得られ(つまり本当に疾患をもつ可能性が高く)、治療が急がれる疾患であった場合は、③となります。
②(再検査)となるには2つの場合があります。ひとつは、本当の病気といえるほどの異常ではない、軽度の異常であった場合です。早くに治療が必要な疾患の場合は、本当に疾患をもつ新生児を見逃すことはできる限り避けなければならないので、このような安全策を採用しています。ふたつめは、たとえば脂肪酸代謝異常症のように、緊急での治療が必要となることが少ない疾患については、最初の結果が基準を超えれば、その程度にかかわらず再検査になります。
❹ 再検査になった場合はどうすればよいのでしょうか?
再検査はなるべく早い機会に受けた方が望ましいので、出産された医療機関の指示に従ってくださ
い。再検査の結果が出るまでは、医療機関を受診する必要はありませんが、万一具合が悪いなどの症
状がある場合は、出産された医療機関や最寄りの医療機関(小児科など)で御相談下さい。再検査で
正常と判断されれば、心配はありません。
❺ 要精密検査 (要精査) とは何でしょうか?どうすればよいのでしょうか?
要精密検査とは、すぐに病院で精密検査を行うのが望ましい、という意味です。要精密検査となっ
た場合でも、病院での検査結果で異常なしと判断される場合も少なくありません。しかし、なるべく
早く詳しい検査を受けた方がよいので、出産された医療機関の指示に従ってください。
正常要精密検査再検査問題はありませんなるべく早く精密検査を受けましょう軽度の異常がみられましたので早めに再検査を受けましょう
◆ 要精密検査となった内分泌疾患について
新生児マススクリーニングの対象としている疾患について、簡単に説明しています。
◆ 要精密検査となった代謝異常症(糖)について
代謝異常症(栄養素の利用障害)
生まれつきの代謝異常症 (先天代謝異常症)とは、ミルクや母乳に含まれているいろいろな栄養素を、うまく利用できない体質です。新生児マススクリーニングの対象としている疾患について、簡単に説明しています。
◆ 要精密検査となった代謝異常症(アミノ酸)について
代謝異常症(栄養素の利用障害)
生まれつきの代謝異常症 (先天代謝異常症)とは、ミルクや母乳に含まれているいろいろな栄養素を、うまく利用できない体質です。新生児マススクリーニングの対象としている疾患について、簡単に説明しています。アミノ酸とは蛋白質をつくる原料となる栄養素です。どのアミノ酸がうまく利用できないかによって、さらに細かく分類されます。
◆ 要精密検査となった代謝異常症(有機酸)について
代謝異常症(栄養素の利用障害)
生まれつきの代謝異常症 (先天代謝異常症)とは、ミルクや母乳に含まれているいろいろな栄養素を、うまく利用できない体質です。
有機酸とは、蛋白質を体内で処理するときにできる物質の総称で、アミノ酸より複雑な構造をしています。有機酸が体内に増加することで、重度の体調不良を生じたりします。増加する有機酸の種類によって、さらに細かく分類されます。
◆ 要精密検査となった代謝異常症(脂肪酸)について
代謝異常症(栄養素の利用障害)
生まれつきの代謝異常症 (先天代謝異常症)とは、ミルクや母乳に含まれているいろいろな栄養素を、うまく利用できない体質です。脂肪酸とは、脂肪の成分であり、人間ではエネルギーの貯蔵庫として重要な役割をもっています。この脂肪酸の利用がうまくいかないと、長時間の絶食や、感染症などでエネルギー消費が増えた場合などに、重度の体調不良を生じたりします。利用ができない脂肪酸の種類よって、さらに細かく分類されます。
◆ ご家族のかたへ
新生児マススクリーニングの検査対象疾患には、いずれも治療法があります。したがって、適切な治療を受けることによって、多くの新生児は健康に発育します。病気によっては、検査結果が判明する前に発症し、体調不良を呈しているかもしれません。しかしその場合でも、早期の診断により、迅速な治療が可能となります。新生児マススクリーニングにより、対象としている疾患以外のものが見つかる場合もあります。その場合は、精密検査をうける病院で詳しい説明があります。※神奈川県医師会 先天性代謝異常対策委員会 作成(許可を得て引用)
こちらのホームページもご参考になさってください
タンデムマス・スクリーニング普及協会
広島県内で出生され新生児マススクリーニングで陽性となったご家族の方へ
http://home.hiroshima-u.ac.jp/~syoni/hiroped/nbs/introduction.html
こども健康倶楽部
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